VTuberに学ぶ「楽しそう」の圧倒的すごさ

かれこれ2年前からVTuberにハマっていて、最近だと本間ひまわりと椎名唯華と笹木咲と夢月ロアとリゼ・ヘルエスタとアンジュ・カトリーナとアルス・アルマルとそれからバーチャルおばあちゃんと甲賀流忍者ぽんぽことおめがシスターズが好きだ。

仕事から帰ると真っ先にYoutubeを立ち上げてVTuberのアーカイブを漁り、すり減ったメンタルを回復している。今期は日常萌えアニメの『まちカドまぞく』とVtuberコンテンツにだいぶ精神を救われている。

推しのVTuberは笹木咲ささきさくだ。

彼女の魅力は何と言っても「楽しそうに」ゲームをするところで、もっとも他のVTuberに共通する魅力であるのだが、笹木咲はとりわけ感情の起伏が豊かで、視聴していて心地の良いゲームプレイをする。

ここでの「視聴していて心地の良いゲームプレイ」はゲームスキルそのものの巧拙さではなく、感情表現の巧拙さを指す。

ゲームといえども楽しいことばかりではない。何度も同じ場所でプレイミスをして先に進めない、理不尽な運要素で相手に敗北する、イライラを募らせたリスナーが「下手くそ」みたいなコメントを容赦なく投げてくる。

リアルタイムで何千人もの聴衆に取り囲まれて、言いたい放題なコメントの濁流を身に受けて、かつトークを絶やすことなく、楽しそうにゲームプレイをする。

僕だったら緊張に耐えられない。キリキリと痛む胃を押さえ、もがき苦しみながらその場でぶっ倒れるだろう。ゲーム実況は一見簡単そうに見えて、常人には真似のできないプロの感情コントロール技術が要求される。

笹木咲をよく知る人ならば「彼女はたびたびゲーム実況中にブチ切れるじゃないか」「めっちゃ情緒不安定じゃないか」とツッコミを入れるかもしれない。

しかし笹木咲をよく知る人ならば、彼女の「ブチ切れ芸」や「情緒不安定芸」が高度に洗練されたエンターテインメントの極致であることはもはや言うまでもないだろう。

日常萌えアニメを観ているときの感覚に近い。楽しそうにゲームをする姿を眺めているだけで、幸せな気持ちになる。

そしてクリエイターの立場から述べると「楽しそうであり続けること」は想像する以上にとても、難しい技術である。


【みんなのリズム天国】寝起きのリズム体操やよ~。【笹木咲/にじさんじ】

(一番好きな笹木咲の動画を置いておくのでぜひ観てほしい。Welcome to にじさんじ沼)

 

さておき、感情のコントロールは文章媒体でさえ難しい。それはツイッター地獄やはてブ地獄、ヤフコメ地獄を見ていてもよくわかる。

インターネットの世界では「怒り」の感情が最も伝播しやすく、人の心を動かす武器として(良くも悪くも)猛威を振るう。感情を「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」の4つにカテゴライズしたときに、怒りの伝播性が突出して高いことは北京航空航天大学の研究でも明らかにされている。(ソース:Scientists prove the existence of the Internet Hate Machine | TechHive

ネガティブな感情が常にどこかで表出される環境下でクリエイター活動を続けるのには、タフなメンタルが要求される。

無名な弱小ブロガー&小説書きである僕のもとにも、

「小学生の書いた作文ですかね^^ よくそんなのでライター名乗れますねwww」

みたいなメッセージが時折寄せられてくる。

(◜◡‾)? てめぇ喧嘩売ってんのかぶっ飛ばすぞ!と思う。

まだこのようなコメントは可愛らしいもので、本当はもっとガチでヤバいやつが送られてきてメンタルをフルボッコにされるのだが、あまりにヤバすぎて公開するのも憚られる。

ましてや何十万人ものファンを抱える有名配信者のもとに、どれほどの数の誹謗中傷コメントが送りつけられるのか、想像に難くない。実際にそれで配信中に泣いてしまった人もいれば、「コメントを見るのが怖い」と告白して動画投稿を辞めてしまった人もいる。いたたまれない気持ちになる。

ネット上に発信する時点で、僕だってクリエイターとしての覚悟を持って書いている。しかし覚悟があったとしても、折れる心は折れるのだ。理性では処理しきれない感情がある。

炎上を目論む悪意あるコメント群をリアルタイムで受け流し、不安や恐怖を声に乗せないよう、今この瞬間の楽しさに集中をする。アンチに足をすくわれることなく、自分を応援してくれるファンに真摯に向き合う。

すごいことだ、すごいことだぞと思いながら、いつもVtuberの生配信を見ている。尊敬する。

僕も、彼女らのようなエンターテイナーになりたいと憧れる一方でしかし、世界がもっと他者に対して優しくなることを切に願うばかりだ。

楽しくブログを書く。小説を書く。絵を描く。ゲームをする。動画を作る……etc

楽しく活動し続けることはそれだけでとっても尊いことなので、是非とも自信を持って楽しくあり続けたい。

(了)

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当記事の執筆者
五条ダン

研究対象は《ナメクジオバケ》。「現実は甘くない。だからこそ甘さが必要である」をモットーとする。修辞技法(レトリック)の分析を得意とし、文体に重きを置く創作スタイルを好む。しかし筆速はナメクジの歩みのように遅い。

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