耳鳴りを治すために整骨院に通った話

失ってはじめて、幸福の存在を知る。

「静寂」がこれほどまでにかけがえのない財産であったとは、止まらない耳鳴りに侵されるまでボクは知る由もなかった。

眠るときに静かであり、起きたときに静かであった日常が、今となってはとても幸せだったことに気がつく。

きっと、自分が死を迎えるその日まで、静寂な時間は戻ってこないだろう諦めがある。不謹慎を承知で言えば、死ぬのが少し楽しみだ。そこが天国でなくたって、壊れた目覚まし時計が永遠に鳴り続ける世界よりは、ずっと――。

前回の記事「止まらない耳鳴りが精神に与える影響を甘く考えていた」の記事で書いたとおり、耳鳴りの症状は精神を蝕む。これがつらい。

さておき、原因不明の耳鳴り治療において耳鼻科で出される薬というのは相場が決まっており、

  • アデホスコーワ
  • メコバラミン
  • ストミン

といったところか。

ボクの場合は上記三種に加えて「ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒」という漢方薬を処方されている。

耳鳴りに効くほぼ唯一の処方薬とされるのが「ストミンA配合錠」で一縷の望みだったものの、服用一ヶ月以上経つも改善は認められなかった。副作用のせいか眠くなるので、不眠症には役立っている。

耳鳴りで整骨院に行った理由

世の中に怪しい代替医療や民間療法が蔓延るのは、病院に行ってもどうにもならない病気がたくさんあるからだ。

「耳鳴り」なんてのはアフィリエイター垂涎の儲かる検索キーワードで、以前はサプリメントのアフィリエイトサイトが検索結果を汚染していた。(今でも耳鳴り治療を謳う怪しい代替医療のサイトは多数ヒットする)

とはいえ、藁にもすがる思いで今回通うことに決めたのが、整骨院だった。もともとボクはひどい猫背かつストレートネックで、慢性的な肩こり首こりには悩まされてきた。

確実に原因(姿勢の悪さ)が分かっている症状(肩こり・首こり)をまずは治していって、あわよくば耳鳴りも改善されたらいいなみたいな気持ちである。

整骨院でおこなわれるサービスは大別すると

  • カウンセリング
  • マッサージ(身体の奥の筋肉をほぐすらしい。結構痛い)
  • 背骨と首の骨の矯正(痛くはないがめっちゃボキボキ鳴る)

の3つ。

病院では症状もろくに聞いてもらえず即聴力検査に回されて薬を処方されるだけだったが、整骨院では柔道整復師さんが親身になってヒアリングしてくれる。

無論それで治るわけではないものの、整骨院・整体院・鍼灸院といった代替医療機関は「カウンセリング」が施術の重要な部分を担っているのだなと強く実感した。

整骨院へは週2回の頻度で1ヶ月ほど通った。費用としては1ヶ月(8回通院)で1万4千円で、相場としてはかなり安いところだと思う。

整骨院の闇としては、

  • 耳鳴りや肩こりでの整体治療は健康保険が適用されないはずなのに、保険診療を勧められる(口裏合わせをするということ)
  • 高額な枕・骨盤ベルト・サプリメントを勧められる(押し売りはされていない)
  • 景品をエサに口コミサイトで星5レビューをつけるよう依頼される

といった「これをやったらアウトだろ!!」と思うようなことをやっている整骨院だった。

この記事は告発を目的とせず、またボクの居住地がバレてしまうため具体的な店舗を明かせない。ただ、グレーゾーンな商売をしている整骨院はわりと多いのかもしれない。

結論を述べると、整骨院に1ヶ月間通っても耳鳴りが改善することはなかった。

しかし、柔道整復師さんに症状を聞いてもらえたことで心はたしかに軽くなったし、施術を受けたことで体も軽くなった。

残念ながら猫背とストレートネックはあまり良くなっていないが、首こりや肩こりはたしかに改善されたように思う。

耳鳴りがなければ整骨院にいって、背骨や首をボキッとされる施術は体験できなかっただろうし、コインの表と裏のように、多くの物事には良い側面と悪い側面がある。(柔道整復師さんの腕が良かった一方で、整骨院の経営サイドがあこぎな商売に手を染めているように)

良くも悪くも、体験してみなければ分からないことがこの世界には多すぎる。

(了)

※重要な追記

かれこれ3ヶ月ほど整骨院に通っていたが、やめようと思う。

整骨院で受けていた、首を旋回させてボキボキッと鳴らす施術は『頚椎スラスト術』と呼ばれ、調べたところによると頚椎を損傷するリスクのある危険な手技らしい。

頚椎に対して行うスラスト法について、厚生労働省は禁止通達を出している。

整骨院での施術によって健康被害を受け訴訟にまで発展している事例もいくつかあるようで、怖くなってしまった。

代替医療業界は闇が深いなと、悪い意味で痛感してしまった。

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当記事の執筆者
五条ダン

研究対象は《ナメクジオバケ》。「現実は甘くない。だからこそ甘さが必要である」をモットーとする。修辞技法(レトリック)の分析を得意とし、文体に重きを置く創作スタイルを好む。しかし筆速はナメクジの歩みのように遅い。

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