【体験談】プラカード持ちはぼっちに最適のバイトなのか

前々から気になっていた「プラカード持ち」のアルバイトを体験した。求人では《短期バイト》として募集をかけていたものの、ボクのところは雇用ではなく業務委託でのお仕事だった。

プラカード持ちのバイトとは、よくあるのが住宅展示場への道案内の看板を掲げるもので「公道上に勝手に看板を置くのはいけないから、それなら人を雇って持たせておけばいいよね!」という謎理論のやつである。

学級会における「木の役」ではないけれど、プラカード持ちの業務を行う際にはひたすら「看板」になりきらなくてはいけない。

業務中、看板を持つ以外の行為は一切禁じられている。スマートフォンをいじったり、読書をしたりは一切できない。端的にいうならば何もしないのが仕事である。

実際にプラカード持ちを体験してみて、本業務は《身体的負担》と《精神的負担》の2つに分けて論じる必要があると感じた。

プラカード持ちの身体的負担

プラカード持ちなんて座ってただ看板を持っているだけでいいんだから、他の肉体労働と比べると楽なんでしょ? と思われるかもしれない。

たしかに引越し作業などと比べるとはるかに楽だとは思うものの、じつはこの記事を書いている時点で筆者は腕が筋肉痛になっている。

というのも、

プラカードが重い!!

のだ。

これは意外だった。

住宅展示場道案内のプラカードは全体が金属(鉄?)で出来ており、重量がある。多分10kgくらいあり、持ち運びに苦労する。

もちろん、座って支えている分には重くはないのだが、そこが風通しの良い場所だと看板がめちゃくちゃ風の抵抗を受ける。金属の塊が飛ばされでもしたら凶器そのものだ。しっかりと両手で支えておかなくてはいけない。

勤務した日は真冬で、外気温は3℃前後。運悪くボクの持ち場は日陰だった。おまけに北風(ビル風?)が吹き付けてくる。雨だかみぞれだか分からんものも飛んでくる。

めちゃ寒い!!!

一応防寒着としてコート・ニット帽・マフラー・マスク・手袋の着用やカイロの使用が認められているものの、これらをフル装備したとしても真冬の日陰、それも風の強い日に6時間半も動けず座りっぱなしなのはキツイ。

ユニクロのヒートテックを着込んできたものの、甘かった。登山用のインナーであるモンベル《ジオライン》クラスの装備が必要だったかもしれない。

手袋をしていても、プラカード自体が金属製でキンキンに冷えており、手に冷たさが伝わってくる。

真冬のプラカード持ちは寒さとの勝負であり、逆に真夏は暑さとの勝負となる。(熱中症で倒れるリスクを考えると夏のほうがきっと過酷だろう)加えて、雨や風との戦いとなる。

ボクは6時間半ガタガタ震えながらプラカードを持っていたけれども、結局のところプラカード持ちの身体的負担は「季節」と「天候」に大きく左右されると言わざるを得ない。

報酬額が変わらないのであれば、真冬・真夏・悪天候下のプラカード持ちは割に合わないと感じる。あと車道沿いで排ガスをもろに吸い込むため、マスクは用意しておきたい。

プラカード持ちの精神的負担

プラカード持ちは、コミュニケーションコストがほぼ発生せず、勤務中はずっとひとりで看板を持つことになる。

したがって「何もしないで長時間を過ごすこと」が得意な人であれば、精神的負担はほとんどない、すごく楽な仕事となる。

6時間も何もしないでどうやって暇をつぶすの? という問いには、次のような提案ができる。

  1. エア友だち(人工精霊タルパ)と会話する
  2. 瞑想する
  3. 般若心経など、暗唱済みのお経や詩を何遍も唱える
  4. 脳内で音楽を再生する(イヤホン着用は禁じられている)
  5. 脳内忍術バトル
  6. 台詞暗記済みの「ご注文はうさぎですか?」第一話を脳内リピート再生する
  7. 頭のなかで棋譜並べをする(囲碁なら一局の脳内棋譜並べで一時間は軽く時間を潰せる)
  8. 視界に入った車のプレートナンバーの数字を加算・減算・乗算・除算して遊ぶ
  9. 素数をかぞえる
  10. 人間観察をする
  11. 小説のネタ出し、プロット作成
  12. 今後の人生について考える

などなど、ぼっち上級者であれば上記のような「何もしないで長時間を過ごす」スキルには長けているはずで、暇つぶしに苦労することはないと思う。

ボクも久々にエア友だちと長話できて楽しかった。

「般若心経」はゆっくりと心のなかで20遍も唱えればちょうど1時間くらい経過するし、心も安らぐしでおすすめできる。

通行人はまさかプラカード持ちのバイトが心のなかで般若心経を唱えているとは思うまい。

プラカード持ちは割に合うバイトなのか?

業務委託のため交通費が支給されない。交通費を差し引いて実拘束時間を考慮すると、時給換算で600円~700円程度となってしまうケースもあり、あまり割に合うバイトとは思えない。

季節・天候の良いときならまだしも、真冬や真夏は死にそう。(冬は防寒対策次第か……)

看板は意外と重く、風が直撃する場所だと支えるだけで腕が筋肉痛になる。

等を考えると、一見して楽そうには見えるプラカード持ちのアルバイトは、そんなに楽でもないし美味しい仕事ではなかった。

しかしながら、何もしないのが仕事な6時間半の勤務中に、小説のプロットを考えたり哲学したり瞑想したり悟りを開こうとしたりと、生産的な活動をすることはできる。

《何もしない6時間半》を自分にとってプラスな体験に変えられる人であれば、プラカード持ちは案外良いバイトなんじゃないかと思う。

ちなみにプラカード持ちのアルバイトは「ショットワークス」という短期バイト特化型の求人サイトでよく募集されている。ボクもショットワークス経由で応募した。

以上、プラカード持ちの体験談でした。あと最後に、腕時計はあった方が良いです。

(了)

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当記事の執筆者
五条ダン

研究対象は《ナメクジオバケ》。「現実は甘くない。だからこそ甘さが必要である」をモットーとする。修辞技法(レトリック)の分析を得意とし、文体に重きを置く創作スタイルを好む。しかし筆速はナメクジの歩みのように遅い。

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