【前回のあらすじ】
ヒャッハーーー!!
CFDトレードで 16連勝を果たしたぜ!!
我が天才的な頭脳と神がかった直感をもってすれば恐れるものは何もない。
かくなる次の一手は、日経225の全力ショート!!!!
総裁選は終わった、円安は進み過ぎている。FRBの利上げシナリオに暗雲が漂いトランプ大統領が高らかに円安批判演説を始めれば為替には大きな調整が入り、不自然に釣り上げられた日経平均株価は奈落の底だぜ。知らんけど。
よーし、乗るしかない、このビッグショートに!!!!!
と丁寧なフラグを立てたのが下の前回の記事。
あれからどうなったのだろうと心配していた読者さんがいらっしゃるかもしれない。
安心してほしい。
フラグは無事に回収した。
収支がちょうどプラマイゼロになるあたりで設定した逆指値に引っかかり、口座を見に行った頃にはポジションが決済されていた。
成績は「16勝 3敗」
回数では勝ち越しているもののトータル利益は「-279円」で負けとなった。
これはまさにコツコツ勝ってドカンと負ける、典型的な敗北パターンだ。プロスペクト理論における認知バイアスの罠に囚われた、トレーダーのありふれた末路である。
今回、トレードのために投入した金額は 5万円だった。
16連勝を果たして 5万円は 6万5千円になった。しかし、たった3回の負けで 49,721円に減ってしまった。
ボクはCFD口座にお金を入れるときから(どうせ自分のことだから途中で調子に乗って大負けするんだろうな……)と予測していたから、大金は入れなかったし、逆指値の保険により被害を 279円で済ますことができた。
では、もしもCFDによる資産運用を本気で考え、500万円を投入していたらどうなっていただろうか。
そう、500万円 → 650万円 → 497万円 と手持ちの時価評価額が揺れ動くわけである。これに耐えられるメンタルを持った人間は、なかなかいない。
資産を投資で運用するのは構わないが、投機で運用してはいけないわけである。
投資と投機の違い
投資と投機の違いは、それが「ポジティブサムゲーム」か「ゼロサムゲーム」かである。
明日の S&P500(米国株価指数)がプラスになるかマイナスになるかは誰にも予想できない。指数トレードをして勝ったのであれば、それと同じだけの敗北者がいる。誰かが得をした分だけ、誰かが損をしている。それがゼロサムゲームの世界だ。
一方で、30年、50年と長いスパンで見たときに、第四次産業革命が起こり人類経済がより発展を遂げ、その中心となる米国企業がそれに見合った収益を上げるのであれば、S&P500は長期的に右肩上がりとなる。
米国市場に長期投資をしていた人間は、全員が利益を手にする。素晴らしきポジティブサムゲームだ。
もっとも、「金融恐慌の真っ只中で自分は死ぬかもしれない」「地球環境の致命的な悪化が資本主義を脅かすかもしれない」可能性は大いにあり、ポジティブサムゲームだからといって勝てるとは限らない。(けれども不安になっていても何も解決しない)
投機は人々の「時間」を奪う
投機が投資と決定的に異なるのは、それが人々の時間を奪うところである。投機は時間泥棒だ。
先物取引をしていれば否が応でも決済期限が気になるし、期限のないCFD取引だってレバレッジをかけていれば毎朝チャートを確認せずにはいられない。
どのタイミングで買って、どのタイミングで売り払うのか。為替レートや経済ニュースを絶えずチェックし、ポジションに頭を悩ませる。
判断する機会が多ければ多いほどに、我々は投機によって貴重な時間を失う。それは二度と戻ってくることがないものである。
ボクは今回のCFDトレードで279円の損失を出し、引退するに至った。けれども損失を出したこと自体はどうでもよく、問題なのは時間を浪費してしまったことだ。
これが適切な「投資」であったならば、時間が奪われることはない。年に1回リバランスをするくらいで、あとはほったらかし。チャートも見ない。
「自分が判断する機会」を限りなく減らし、そもそも投資したことなんか忘れてしまうのが理想といえる。目の前の仕事や生活に集中し、今この瞬間を楽しめるように生きたいものだ。
恐ろしい「投機」の時代が始まる
以上、よくある自己啓発書やビジネス書に書いてあるようなことを長々述べてしまった。自戒を込めて、というよりも自分に言い聞かせるつもりで書いている。
ところで「まだ仮想通貨持ってないの?」というブログを運営し、数多くの読者を仮想通貨沼にいざなった著名ブロガー、イケダハヤト氏が今度は「トライオートFX」に着目している。
彼は「日本一のFXブロガーになります!」と宣言し、FXの自動トレードを初心者に勧める記事を量産し始めている。
ボクは、イケダハヤト氏のアーリーアダプターとしての才覚は、純粋に評価している。おそらく本当に「トライオートFX」とやらはこれから大ブームになり、彼も日本一のFXブロガーになるのだと思う。(恐ろしい恐ろしい……)
投機沼に足を突っ込んで溺れるボクみたいな失敗をしないよう、どうかくれぐれも注意してほしい。
(了)