サイト運営は「ちょっと赤字」を常に目指すのが良い成長戦略かもしれない

昨年からYouTuberの動画を観るのにハマっていて、YouTuberの上位層はとにかくお金を稼ぎまくっている。国内ランク70位にも入れば月収100万円クラスで、10位内だと月収1000万円を超えるすごい世界だ。

しかしここで着目したいのは、トップクラスYouTuberは売上も然る事ながら、動画を撮るためにかけている経費も半端じゃないということだ。

遊園地を貸し切ってドッキリを仕掛けたり、サイエンティストと共同で実験企画を行ったり、大学と共同で気球を打ち上げたり、プロスポーツ選手と試合をしたり、無人島に行ったり南極に行ったりと、とにかくやることが豪勢である。

  1. お金や時間をかけるから面白い動画が撮れる
  2. 面白い動画だから人気が出て収入が上がる
  3. 収入が上がるから動画企画のためにもっとお金をかけられる

というプラスの連鎖が働いている。

動画企画にお金をかけられることは、それがそのまま他者との差別化、競争優位性に繋がる。

YouTuber自身の企画力やトーク力が大切である点に間違いはないが、それと同じくらいにどれだけ金が使えるかも重要なのだ。

もっとも、当事者たる人気YouTuberは、稼いでいない初期の頃から

「面白い動画を撮るためならば赤字でも構わない。俺たちは面白い動画を作るために人生を懸けているんだ!!」

という覚悟を持った人たちで、そうでなければ今の地位はなかっただろう。

かたや、Webメディア・アフィリエイト業界はひどいものである。

「いかにして金をかけずに記事を量産してPVを増やすか」で頭がいっぱいの運営者であふれている。

守秘義務があるためどことは言えないが、かつて取引先であった某大手書評メディアでは、文字単価0.4円でクラウドソーシングに外注し「おすすめ○○小説10選」「漫画○○最新刊ネタバレ」といった記事を量産していた。

ライター報酬には本の購入費が含まれておらず、納期には本を読む時間が加味されていない。

したがって多くのWebライターは「自分が読んでもいない本」のあらすじをネットで適当に情報収集して、こたつ記事を書くしかない。一部の良心的なWebライターは図書館を活用して対象書籍を読んでいたが、文字単価0.4円であることを思えばまったく割に合わない仕事である。

また、ボロが出るのを懸念してか記事制作マニュアルにおいて「主観的な感想を書くこと」が禁じられており、結果として表面的なあらすじをなぞって当たり障りのないコメントを書き添えるような、無味乾燥な書評記事をライターは納品することとなる。

「愛読家のための情報メディア」を謳う某法人運営の書評メディアは、実態として読んでもいない本の書評・ネタバレ記事をWebライターに大量生産させる、読書家を愚弄するようなメディアだった。

さておき、一般的な傾向として個人・法人を問わずブロガー&アフィリエイターはお金をかけなさすぎる傾向にある。

ここで言う「お金をかける」とは記事を外注するとかそういうのではなくて、取材のための費用を捻出できているか否かである。

サイト運営で稼ごうとするとき、多くの人は上図のように、費用を最低限で固定化し、売上を伸ばすことによって利益を最大化させようとする。

差別化のためには、この発想を変える必要がある。

そう、売上に合わせて費用も増大させてゆき「ちょっと赤字かプラマイゼロ」あたりの利益を常に目指すのだ。

矛盾するようだが、稼ぐメディアを作るには《稼がない》ことが最短経路となる。

サイト運営によって得られた広告収入等をすべて「面白い記事を書くための経費」に再投資しよう。コンテンツとしてはそれだけで十分に差別化できる。

ちゃんと製品を買ってからレビューする、ちゃんと料理を作ってからレシピ記事を書く、ちゃんと現地に滞在してから旅行記事を書く。そんな当たり前のことをしているWebメディアが本当に少ないからだ。

実体験に基づく主観的な感想を交えた記事が書ければ、それだけで大手Webメディアに負けないオリジナルコンテンツとなる。

たとえば僕はリクガメを飼育しており、リクガメの情報サイトを運営しているけれども

  1. サイトから広告収入を得る
  2. 収益のすべてをエサ・床材・その他飼育用品・飼育書籍等の購入に充て、そのレビュー記事を書く
  3. 読者が増え、さらに広告収入を得る

の《正のループ》を実現している。

基本的に、すべてのサイトの運営戦略はこれである。

ブログで収益が入ったらそれ以上の費用を「新しい体験」をするために投じる。その新しい体験をコンテンツに変え、より良いサイトにしてゆく。

トータルは赤字でまったく構わない。なぜならば、サイト自体の資産価値は間違いなく上がっているからだ。

かのアマゾン社は売上のほとんどすべてを再投資してしまう。そのため最終利益はいつもプラマイゼロ付近を彷徨っているが、その再投資によって得られたのは圧倒的な事業成長である。

同じように、サイト運営は「ちょっと赤字」を常に目指すのが良い成長戦略かもしれない。

人気YouTuberたちの動画作りに懸ける熱い想いを僕も見習いたい。

(了)

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当記事の執筆者
五条ダン

研究対象は《ナメクジオバケ》。「現実は甘くない。だからこそ甘さが必要である」をモットーとする。修辞技法(レトリック)の分析を得意とし、文体に重きを置く創作スタイルを好む。しかし筆速はナメクジの歩みのように遅い。

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