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短歌

恋のうた 篇

雨、雪、風のうた 篇

現実のうた 篇

クリスマスのうた 篇

「生きる」篇

野暮な解説

ポッキーに宿る願いは宙で折れ ディスプレイに付くチョコの染み跡

11月11日はポッキーの日であり、恋人たちが一本のポッキーを両端から咥えて食べ進め《二人は幸せなキスをして終了》するという古来よりの風習がある。

闇惑い因果で巡り逢う君と 中二病でも恋がしたいと

『中二病でも恋がしたい!』(虎虎 KAエスマ文庫)2012年に京都アニメーションよりアニメ化。六花ちゃんの闇の炎に抱かれて消えたい……。

シクラメン月のない夜に燃えあがり 愛する人に火の粉を落とす

赤いシクラメンの花言葉は「嫉妬」
燃えるように或いは血のように紅く染まる花弁を揺らすと、子孫を遺すための花粉が舞い落ちる。

恋無くし孤独に浸るヒロインは画面向こうの愛を知らずに

失恋したことを嘆く少女は、次元を隔てた画面の向こうに彼女を愛する多くのオタクがいることを知らない。我々がどれだけ二次元を愛そうとも、それは届かないのだ。さておき、知らぬ次元の人たちから一方的に愛されるというのはある種のホラーではある。

温室のポインセチアは街に出て常緑低木クリスマスに散る

ポインセチアはクリスマスを彩る代表的な植物であるが、じつはメキシコ原産であり寒さにとても弱い。日本の冬には耐えられず、屋外に置かれれば落ち葉して枯れてしまうのだ。日が短くなると苞葉を赤く染めて色付くが、現代の光に溢れた社会においては『短日処理』といって擬似的な夜を再現してやらねばポインセチアは赤くならない。挿し木で簡単に増え、育てるのは比較的簡単な観葉植物。夏には元気に育つ。

つぶやきの海からやがて人は消え 繰り返される歌だったもの

かつて、ツイッターでは短歌詠みのためのハッシュタグが賑わっていた。(#jtanka #tankaなど)しかし、短歌をつぶやく自動投稿botが増えすぎたため、今ではハッシュタグを覗いてもbotだらけで人間の姿を見つけられなくなってしまった。なんとも切ない。今日もまたbotたちが《かつて誰かが心をこめてうたった歌》だったものを無機質に繰り返しているのだ。

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