僕がデジハリ大阪校に半年間通学をしてWebデザインを勉強した話

デジタルハリウッドの口コミを探してみると「辛辣な批判」や「悪評」が多く見つかる。これらすべてが嘘とは言わないが、ネットに出ている情報は偏り過ぎではないかと思う。

ここでは僕が実際に50万円を支払って、半年間デジハリ大阪校に通学してWebデザインを学んで得られた所見を書いていきたい。

僕は現在、Webデザイナーではない。結論から述べると、Webデザイナーにはならなかった。

Webデザイナー専攻フリーランスパックを受講した経緯

デジハリ公式サイト(https://school.dhw.co.jp/course/web/)を見てもらえば分かるとおり、このコースは48万円かかる※記事執筆当時。神戸から大阪へ通う電車賃を含めると、費用は50万円を超える。

半年で50万円だから、大学の授業料並みだ。決して安い買い物ではない。

僕は当時、フリーランスでWebライターをやっていて(今もやってるんだけれども)あまり稼げていると言える状態ではなかった。なのでWebライターを廃業して、Webデザイナーに転身しようかなぁ……と考えていた。

それでデジハリ大阪校のスクール説明会に参加をして(説明会、といっても私ひとりだけれども)ブースでデジハリのカウンセラーさんの話を聞くうちに、気分が乗ってきた。その場で、即契約をした。

衝動買い、といえばそのとおりなのだけれど、当時はそれだけ心理的に切迫した状態だった。なにせWebライターでまったく稼げていなくて、未来が視えなかったのだ。

50万円も払う価値はあるの? 独学で十分では?

通学スクール反対派の意見として、必ず出てくるのが「独学で十分」という言葉。これは、そのとおりだと思う。デジハリに通学して、マンツーマン指導・ライブ授業・卒業制作などいろいろやったけれども、そこで得られる知識や技術は、すべて独学でも得られるものだった。

デジハリのカリキュラムは、Illustrator,Photoshop,Dreamweaverの基本的な操作を覚えるのが最初の1~2ヶ月目にやることで、ある意味で初学者には優しい仕様となっている。

要領の良い人であれば、それはもちろん「市販の手引書」を使ったほうが、圧倒的に早く学習が進む。とくにデジハリの講義動画は、ソフトの初歩的な操作ガイドに多くの時間を割いている。

しかし「独学で十分」というのは、Webデザインに限らずあらゆる分野のスキル習得に言えることで、司法書士を目指すにせよ小説家を目指すにせよ漫画家を目指すにせよ、独学で得られない知識はない。

独学で躓く人をサポートするのが学校の役割」なのであるから、独学で十分だという批判は、ピントがズレている。

僕の場合で言えば、

  • marginとpaddingの使い分け
  • floatとpositionの使い分け
  • レスポンシブデザインの作り方
  • Photoshopでデザインをやって、Dreamweaverでコーディングをする流れ
  • バナーやロゴの作り方
  • Photoshopで写真を合成する

などは、独学ではきっと躓いていたと思う。だからその躓きポイントを乗り越えるために、スクールを利用した意義はあった。

逆説的に、上記に列挙したことが独学でできてしまう人は、50万円を払ってまでスクールに通う必要はない。繰り返すけれども、スクールはあくまで「独学でうまくいかない人」を支援する場である。

通学しないと得られない体験

現役のWebデザイナーさんとお話できる!というのはたしかに、通学をしないと得られない素晴らしい体験だと思う。講師のWebデザイナーさんは、生徒に甘い話はしない。いかにこの業界が過酷であるのか、かつて自分が務めていたWebデザイン事務所がどれだけブラックな環境だったのか、リアルで生々しい話をしてくれる。

それは、本気でWebデザイナーを目指す人にとっては、気の引き締まる有用な話であることは間違いない。

「駄目だし」はいっぱいされる

デジハリのWebデザイナー専攻クラスを卒業するには、いくつかの課題を合格しなければならない。

  • ロゴ制作
  • バナー制作
  • 名刺制作
  • モックアップ制作
  • Webサイトのコーディング

で、この課題をひとりでこなして、Webデザイナーの先生にチェックしてもらうのだけれど、これがとても厳しい。いわゆる「駄目出し」はどんどん容赦無くされる。僕なんか駄目出しをされまくって、最後は涙目になっていた。

僕はバナー制作がとくに苦手で、なかなか合格しなかった。夜9時まで教室に残って、Photoshopとにらめっこしていた。(ちなみにデジハリ大阪校の教室は、24時間自習に使えるのだ。ソファーで仮眠を取って徹夜で頑張る人もいた)

修正版を10案くらい作っても、満足の行くものは出来上がらなかった。このとき「俺はデザイン方面は無理やな……」と素直に思った。

Webデザインの課題を提出したとき、先生はひと目見ただけで「あ、五条くん、ここ1pxズレてるね」と指摘した。言われて画面をよく見たが、どこが1pxズレているのか分からない。

自分の席のPCで、Photoshopを使って測ってみたら、本当に1pxだけ下方にズレていた。プロは半端ないなと思った。プロは、すごい。自分がいかにデザインに対して甘い考えを持っていたか、先生の話を聞くたびにひしひしと感じた。

こうした体験は通学ならではのものだと思う。「どんどん駄目出しをされて、成長したい!」という向上心の高い方は、通学をして得られることも多いはず。

ちなみにこのブログのロゴマーク(上の画像)はAdobe Illustratorで制作をした。鉛筆と万年筆のモチーフを組み合わせた我ながら渾身のデザインだが、これもきっと先生に見せたらめっちゃ駄目出しされると思う。

就職には繋がるの?

いきなりの正社員採用にこだわらなければ、Webデザイナーとしての就職は十分可能だと感じた。僕は卒業制作で作ったサイトが評価されて「クリエイターズ・オーディション」という、企業と学生のマッチングイベントに出場することができた。(デジハリ大阪校で開催される)

そのときに、何社かから「うちで働きませんか」とオファーを受けた。クリエイターズ・オーディションでは、5分ほどのプレゼン発表をして、そのあとに企業の人たちとの名刺交換会がある。

参加メンバー同士で仲良くもなれるし、さまざまな企業の人と名刺交換をすることで人脈獲得にも繋がる。大企業、有名企業の採用担当者さんもけっこう来ていて、会社訪問のお誘いをいただいた。一方で、会社を設立したばかりの社長さんからは、起業話を聞くことができた。

勿体無い話、僕はオファーはすべて断ったのだけれども、もし受けていれば(正社員とは限らないが)Webデザイナーにはなれていただろう。ただ、オファーを受けたうちの1社は、虫眼鏡スパムをやっている悪質なSEO会社だった。企業分析は怠らないようにしよう。

フリーランスにはなれるの?

いきなりフリーランスとして独立するのは、難しい。僕はデジハリ卒業後、ランサーズのデザインコンペ(ロゴ制作やバナー制作)で力試しをしていたのだけれど、一度も当選できなかった。

デジハリ授業料の元を取るどころか、モリサワフォントとAdobe CCの年間契約料の元さえ取れなかった。もちろん個人の努力次第であり、僕の場合はデザイン方面の仕事は向かなかった、という話に過ぎない。

まぁ……フリーランスになることの厳しさを考えると、デジハリが「未経験から最短3ヵ月でフリーランスデビュー!」みたいな安易な広告を打って受講生を増やすのは、いかがなものかと思う。( ↓ こんなの)

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ちなみに、Webライターの仕事の繋がりで、クライアントさんからWebデザイン・コーディング・SEO対策の案件を任されることはよくある。最近はWordPressのトラブルを解決してほしい、的な依頼もよくいただく。記事のマークアップ納品も増えてきた。

Webデザインの知識があれば、Webライターとして対応できる業務の幅は広がる

ただ、個人的には「ライターはライティングに特化した方が、収益に繋がる」と考えている。ぶっちゃけライターの自分がデザイン業務を引き受けても(時間がかかる上に)大きな儲けにならない。それなら得意分野に集中した方が、得だ。「比較優位」「選択と集中」を意識したい。

デジハリ卒業したのにWebデザイナーにならなかった理由

ならなかった、と言うべきか、なれなかった、と言うべきか。

とにかく良くも悪くも、デジハリで現役Webデザイナーの先生方と話をするうちに、自分の将来の目標が固まってきた。つまり自分の適性を正しく知り「私はデザインよりもライティングの方がやりたいんだ」という願望をはっきりと認識できた。

だから「Webライターになる」という指針が明確に決まったのは、デジハリのおかげであるし、感謝している。

もしもWebデザインという仕事に淡い幻想を抱いていたままで、なおかつ「俺にはデザインセンスがあるぜ!!」と思い込んでいたままだったなら、僕のキャリア設計は今でも揺らいでいただろう。

まとめ

デジハリなぜか悪評多いけれども、卒業制作なんかはみんな楽しく(向上心を持って)やっていたし、僕も良い刺激となった。

ただ課題はけっこう多いので、フルタイムの仕事がある人は、通学は厳しいと感じる。(事実、途中で時間が取れずに脱落していく人が多い)

専門系のスクールは、金はかかるけれども行けばそれなりに楽しいところで、僕もお金を貯めて暇ができたら今度は「漫画・イラスト科」のある学校にでも通いたいなぁ……と思っている。イラストなんて、それこそ独学でやれ!と思うかもしれない。でも、独学ではモチベーションが続かないからこそのスクールなのだ。

残念ながら「授業料の元を取る」という意味では、僕は失敗している。

現在の収入はほとんどがライティングによるもので、デジハリでせっかく学んだデザイン知識はあまり役立てていない。それでも「趣味サイトの運営」という素敵な趣味ができた。

デジハリ大阪校に半年間通学をして、Webデザインを勉強した。少なくとも、後悔はしていない。

以上、通学を考えている人の参考となれば幸いです。

(了)